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2021.09.28インタビューぷちコン

第15回UE4ぷちコン最優秀賞作品の開発者に突撃インタビュー!Steamでもリリースされたピースを入れ替え先に進む短編2Dアクションゲーム『入替人 – ReplaceR -』

子供のころから興味があったゲーム開発。ぷちコンへ参加したきっかけは?

―プロフィールと、これまでの来歴を教えてください。

CGとかと申します。ポストプロダクションでTV番組関連のCGアーティストとして数年勤務した後に独立し、主に3dsMAXを用いた3DCG制作を受託しています。現在は受託案件を一時的にストップし、個人でのゲーム制作に力を入れています。

―『入替人 – ReplaceR -(以下、入替人)』のゲーム内容を簡単にご紹介ください。

このゲームは、特殊な銃を使ってプレイヤーと物の位置を入れ替えてステージを進む2Dアクションゲームです。4つのルートは、どういう順番でクリアしても問題ありません。どのショットを使って進むのか、どういった手順を踏むのか、何度も試行錯誤をしながらクリアを目指すような作品です。
また、今回外せないのは、第15回UE4ぷちコンのテーマである「かわる」に合わせて作ったという点です。テーマを受けて、チームメンバー4人で案をひねり出してゲームを完成させました。

入替人 – ReplaceR – のSteamページはこちら

―実際にSteam版をプレイさせて頂いたところ、何度もトライ&エラーを繰り返して進んでいくという意味では「死にゲー」のようにも感じました。意識したタイトルなどはありますか?

死にゲーを目指した訳ではないのですが、死にゲーの代表作でもある『I WANNA BE THE GUY』を参考にした部分もあります。失敗を繰り返していくうちに攻略方法をあみ出したり、プレイスキルが上がってクリアできるようになるのは死にゲーの一つの楽しみ方であり、このゲームでもそれを意識して難易度設定を行いました。難易度の高いゲームが好きという自覚はありませんが、実際にプレイした方やSTEAMの感想では予想より「難しい」という意見を多く頂きました。

―ゲーム開発に挑戦した理由やきっかけを教えてください。

ゲーム開発自体は子供のころからやってみたいと思っていました。当時はマルチプレイのアクション要素がある「くにおくん」シリーズや「聖剣伝説2」が特に好きで、チームで遊べるようなゲームがもっとたくさんあれば良いのにと思っていたんです。高校生になった頃もゲーム開発に興味はあったのですが、数学がそこまで得意ではなかったり、「猫でもわかるC言語プログラミング」という書籍を読んでも難しいと感じていたので、プログラマー的な素養があまりなさそうだなと思って断念しました。プログラム以外の方法でゲーム開発に関われたら良いなと思い、専門学校へ入り3DCGを学びましたが、結局はゲーム会社の間口の狭さもあって映像系に進路を決めました。

―子供のころから興味はあったが、きっかけがなかった、と。

「プログラムができない自分は、ゲーム会社に所属しない限りゲーム開発は出来ないだろう」とずっと思っていたんです。しかし、「Clickteam Fusion (現:インディゲームクリエイター)」というエンジンを知ったことで、自分が思うよりも簡単にゲームを作れる事が分かりました。
その後、さらに発展的な作品をつくることができるUnreal EngineやUnityの存在を知り、自分の仕事である映像分野でも活かせそうという理由でUnreal Engineの勉強を始めました。これが2年ほど前のことです。

―本作は『第15回UE4ぷちコン』で最優秀賞を受賞しています。ぷちコンに参加したきっかけはなんですか?

Unreal Engineの情報を集める上で、UE4ぷちコンはすぐに目に止まりました。参加の決め手になったのは、業界で有名なalweiさんという方が数時間で制作して投稿した報告を見たことで、「このくらい気軽に参加できるのであれば」と思って自分も作品制作を考え始めました。


CGとかさんのUE4ぷちコン初参加作品「花咲力 HanasakaForce」

―第13回UE4ぷちコン、テーマ「さく」の時ですね。突然流れた解説音声と、2Dゲームだった事が特徴的でよく覚えています。第15回で最優秀賞を獲得されましたが、その時の率直な感想を教えてください。

自分でも驚くくらい、しっかりとテーマに沿った作品ができたと思いました。手ごたえはありましたが、Unreal Engineは3Dゲームが多いので、2Dゲームが最優秀賞に選ばれるかは自信がなくて。なので、最優秀賞と聞いた時は、すごく驚いたことを覚えています。メンバー4人で約1か月半ずっと頑張ってきたこともあり、努力が実って良かったと思いました。

 

初めてチーム制作で挑んだぷちコン。一番苦労した点は意外な点だった。

―『入替人』の開発メンバーについて、人数と役割分担を教えてください。

メンバーは私も含めて4名です。ドット絵を担当したジョダロモゲッパ、テーマの発案者兼レベルデザインを担当したロン爺、同じくレベルデザインで2つのルートを担当したのがルーカス君、そしてUE4周りを担当した私CGとかというチーム構成になっています。みんな高校や専門学校の同級生で、よくこの4人でゲームを遊んでいるので、その延長戦で「マリオメーカーみたいに作るから、それを並べてよ!」と呼びかけて、ゲーム感覚で作ってもらいました。

―テーマ「かわる」からどのようにアイデアを広げたんですか?

最初の一週間はなにも浮かびませんでしたが、ロン爺が「プレイヤーとものを入れ替えて進んでいくのはどうか?」というアイデアを出してくれたことで、プロトタイプ制作に着手できました。私とロン爺でオレンジルートのもととなるステージを制作したところ、他のメンバーも「そういうことね」と理解してくれて、そこから「バウンドや、オブジェクト同士の移動ができると面白いのではないか」などという発想が次々に出てくるようになりました。

 

―メンバーの皆さんはUnreal Engineを使用した経験はありましたか?

今回はドット絵担当のジョダロモゲッパ以外がUE4を使用していますが、ロン爺もルーカス君もUnreal Engineを使うのは初めてでした。ロン爺はUE4ぷちコンが開催される1ヶ月前に、私がYouTubeに投稿している2Dゲーム制作講座を5本ほど見てくれていました。ルーカス君はロン爺のオレンジルートを作る作業を見て、「これなら自分でもやれるかも」と感じたようで、約2週間で2つのルートを作ってくれました。


CGとかさんが行っている2Dゲーム制作講座のプレイリスト

―作品の中で特に気に入っている部分・見どころはどこですか?

まず、Unreal Engineの作品でドット絵を活用したゲームは少ないと思っているので、見栄え的に特徴のある作品になったのではないかと思います。また、選択武器・ルートによって難易度や楽しみ方が変わるようになっているので、自分自身でクリアまでの道筋を考えることができるのも本作の売りだと考えています。

―ゲーム開発中、特に苦労した部分はありますか?

正直に言って、今回のぷちコンは「どうしてこんなにうまくいったんだろう?」と自分でも思うくらいスムーズに開発できました。今までは一人でぷちコンに参加していましたが、今回は開発メンバーが増えたことと自分自身のスキルが上がったためか、あまり苦労を感じることなく制作を終えることが出来ました。一番苦労した部分でいうと、Steam公開でしょうか。なにせはじめてのことだったので、登録から紹介文、サムネイル制作など、ずっと躓いてばかりでした。きちんとした説明が必要だったり、予想外のバグが発生したりと、動いただけで喜んでいた制作とは違う「ゲームを公開する大変さ」を実感しました。

―今後つくってみたい作品や、キャリアの展望を教えてください。

自分が「本当に遊びたい」と思えるような作品を、自分自身で制作して行きたいです。最近だと「Human Fall Flat」や「Fall Guys」などマルチプレイとアクション要素のあるゲームが増えてきましたが、ただ待っているだけでは自分好みのゲームが出てくる保証もないなと感じていて。もしも自分が本当にやりたかったゲームが世に出たら、きっと自分はゲームを作らなくなると思いますが、それが出ないうちは自分好みのマルチプレイアクションゲームを開発していきたいです。自分一人の力ではミニゲームまでがせいぜいだと思うので、プロトタイプを制作したり、企画書をつくってどこかと一緒に作れたらと思っています。