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2021.12.15インタビューぷちコン

【第16回UE4ぷちコン受賞者インタビュー】道を作りながら音符を集めて高得点を狙うリズムゲーム『RhythmRouteSnow』―たった一人で開発を行ったプランナー志望の専門学生MintoDogさんに本作の魅力を聞いた

2021年8月5日(木)から9月12日(日)に渡って開催された、Unreal Engine 4(以下、UE4)の学習を目的としたコンテスト『第16回UE4ぷちコン』。全610作品のうち、見事におかず賞を受賞したMintoDogさんに、「みち」というテーマからどのように着想を得たのかのコンセプトワークと、実装上の工夫やこだわりについて聞きました。

 

第16回UE4ぷちコン おかず賞『RhythmRouteSnow』

人と人を繋げるようなゲームをつくりたいと思った

―プロフィールと、これまでの来歴を教えてください。

専門学校HAL大阪 ゲーム4年制学科 ゲーム企画コース3年生の大西永莉可です。学校では主に、企画書や仕様書の作り方、ゲームの歴史などを学んでいます。また、ゲームエンジンやBlenderなどのツールの基本的な使い方も学んでいます。

―ゲーム開発をしたいと思った理由やきっかけを教えてください。

高校生時代に自分の進路について考えたとき、「昔から好きだったゲーム開発の道に進みたい」と思いました。

ゲーム開発に興味を持ったのは中学生の頃だったと思います。当時は病気で不登校になっていましたが、同じ病気の人同士のコミュニティがあり、学校の代わりにそちらに参加していました。自分と同じくゲーム好きの方が多く、ゲームを通じて仲良くなれたことから、ゲームには人と人とを繋げる力があるのだと感じました。自分も大好きなゲームを作ることで、そのような繋がりの場を提供したいと考えました。

また、私はシリーズを全作プレイするほどの『リズム天国』ファンであり、昔から本作を楽しく遊んでいたこともゲーム業界を目指す理由のひとつになっています。

―ゲーム業界を目指したとき、今のゲーム企画コースを選ばれたのはどうしてですか?

高校時代に、HALの体験入学イベントで「プランナーコース」の授業を受けました。プランナーコースの他にもプログラマー、デザイン、サウンドのコースがあり、プログラムとプランナーで迷ったのですが、入学前は、プログラムは数学が得意でないといけないイメージがあったので…。そこで初めて横スクロールゲームのステージ制作を体験しましたが、自分の作ったステージを在校生が楽しそうにプレイしているのを見て、改めてプランナー職に興味を持ちました。

 

「卒業までに大好きなリズムゲームを作りたい」という想いから生まれた受賞作

―改めまして、受賞おめでとうございます!応募時から手ごたえはありましたか?

はい、手ごたえはありました。『審査結果発表会』の生放送は家族と一緒に見ていたので、自分の作品が選ばれたときはみんなで喜びました。これまで学内ではいくつか賞をいただいていましたが、学外での賞をいただいたのは初めてだったので、今回の受賞は自分の中でも大きな出来事でした。

大西さんが制作された学内受賞作品『RallyFever』

大西さんが制作された学内受賞作品『TeruteruSkyHigh』

大西さんの制作された学内受賞作品『右脳決闘』

 

―『RhythmRouteSnow』のゲーム内容を簡単にご紹介ください。

この作品は、リズムに合わせて道を作ってゴールを目指すリズムゲームです。タイミングによって道の作られる方向が切り替わるので、うまく道を作って障害物である氷山を避けながら進みます。ステージ上には音符があるので、より多くの音符を回収してハイスコアの獲得を目指します。連続で音符を獲得した場合、コンボボーナスとしてスコアに倍率がかかるので、高得点を狙うことが可能です。うまくリズムに乗って音符を連続で取ることが出来たときに得られる達成感が魅力の作品です。

―次に、本作品の企画に至るまでの流れを教えてください。

実は、テーマ発表よりも前に、リズムゲームを作ろうと決めていました。これまでアクションゲームを中心に作っていたので、大好きなリズムゲームを1作品は作ってみたいと思っていたんです。企画や制作自体はテーマ「みち」が発表されてから考えていきました。

―ぷちコンの作品を作る前に、UE4を使用した経験はどれくらいありましたか?

ほとんど使用経験はありませんでした。UE4の授業では基本的なツールの使い方を学びましたが、Unreal Motion Graphics UI デザイナ(以下、UMG)やイベントディスパッチャーなどの分からない項目は独学で調べました。UE4経験は浅かったのですが、「Unreal Engine」「リズムゲーム」と検索したところ、リズムゲーム用のプラグインが見つかりました。それを使えば自分でもリズムゲームが制作出来そうだと感じたため、制作を始めました。

―ゲームは全て一人で作られたのですか?

はい、全て一人で作りました。わからないことがあったときも開発者ブログや公式ドキュメントを調べて、自分で色々な方法を試して一番良いものを使うようにしていました。デザイン面に関しては、ゆきだるまのキャラクターや音符、ステージセレクト画面のラジオはBlender、タイトルロゴもGIMPで自作しました。両方とも授業で触れたことはありましたが、この機会にさらに勉強しました。あとは世界観が合うようにマーケットプレイスにあるアセットを組み合わせて作りました。

 

―開発期間はどれくらいでしたか?

ちょうど夏休みだったので、1日5,6時間くらい作業して、2週間程度で制作しました。

元々別のゲームエンジンを触っていたので、キャラクターアニメーションなど、似たような機能は覚える時間が短縮できました。その分初めて挑戦するプラグインの導入や、UMGなどに時間を使えたのだと思います。

―この作品を作る上で、最初からゲームの完成形は見えていたのですか?

最初から全て頭の中にあるイメージで作っていきました。音符を連続で獲得するとコンボボーナスとして高得点が獲得出来る、という仕様は後から思いつきましたが、それ以外は最初からイメージとして持っていました。

―作品の中で特に気に入っている部分や見どころついて教えてださい。

Blenderで作成したオリジナルの雪だるまのキャラクターがお気に入りです。世界観を合わせるためにもグレイマンは絶対に使わないと最初から決めていました。また、人型のキャラクターは制作の難易度が高いため、それ以外のキャラクターにしようと考えていました。「みち」というテーマを聞いたとき、雪道のイメージが頭に浮かんだので、そこから連想して雪だるまのキャラクターを作りました。雪だるまに合わせて世界観を作っていきました。

また、気持ちよく音に合わせてコンボが続くように、音符はこだわって配置しました。ゴール前では10コンボくらい出来るようになっているので、爽快感があると思います。

 

―開発に際して特に苦労した部分を教えてください。

リズムゲーム用のプラグインの使い方です。いざ制作してみるとプラグインに関する情報があまり見つからなかったため苦戦しました。どこからリズム処理を取ってくるかなど、自分で色々な方法を試して一番良かった手法で制作しました。

BlenderからUE4にエクスポートする作業も苦戦しました。エクスポートする際に思ったよりもサイズが大きくなったり、アニメーションがおかしくなったりしたので何度も調整を重ねました。

自作アセットとマーケットプレイスアセットの組み合わせでしたが、全体的にまとまっていて、今まで作った作品と比べても出来が良いなと感じています。

―最後に、今後作ってみたい作品やご自身の展望を教えてください。

卒業前に、もう一度リズムゲームを作りたいです。今回の作品のようなものではなく、RPG×リズムゲームなどジャンルを掛け合わせて作ってみたいです。他にも協力・対戦などの通信プレイのゲームにも挑戦してみたいと思っています。