BLOGブログ

2021.05.01タイトル情報お知らせ

【 Caligula2 GW 特別企画 】#01 バトルコンセプト

2021年6月24日にフリュー様から発売される「Caligula2」。
開発会社である弊社ヒストリアより、ゴールデンウィーク特別企画として、
開発リーダー陣による作品へのこだわりどころを全5回に渡って紹介したいと思います!

関連記事
【 Caligula2 GW 特別企画 】#01 バトルコンセプト
【 Caligula2 GW 特別企画 】#02 帰宅部のバトル中のアクションのこだわり 前編
【 Caligula2 GW 特別企画 】#03 帰宅部のバトル中のアクションのこだわり 後編
【 Caligula2 GW 特別企画 】#04 2種類のカメラを使い分ける! バトルカメラのこだわり
【 Caligula2 GW 特別企画 】#05  背景アートからみる、各ダンジョンのこだわり


Caligula2は、シリーズ通しての特徴である”未来を予測する”システムを軸としたバトルシステムを取り入れています。GW特別企画の初回である今回は、プロジェクト初期にどのようなバトルにしようとフリューさんと議論を重ねていたかを、制作ディレクターの佐々木が語らせていただきます。

 

○Caligula2のバトル概要

カリギュラシリーズのバトルでは、技選択のとき以外はリアルタイムで時間が進み、フィールドをキャラクターたちが縦横無尽に駆け巡ります。また、大きな特徴として、「バトルになると曲のボーカルが流れる」「攻撃選択の前に未来予測を視て行動を決める」(イマジナリィチェイン/空想視)の2つがあります。

このように、敵味方が入り乱れるリアルタイムのバトルを、未来予測により難しすぎない操作で行えるのが、カリギュラのバトルです。

プロジェクト初期に、今作のバトルを設計するうえで以下の3つの観点で考えました。
1.ベースのバトルシステムの精査
2.ライブ対決
3.楽曲PVの中で遊んでいる感覚
それぞれについて、解説していきます。

 

○1.ベースのバトルシステムの精査

最初に、前作にあったものも含めてバトルの要素を精査しました。本シリーズにおいては未来予測を視ることが出来ることが最大の特徴のため、まずはその空想視を活かせる要素を固めました。

改めてイチから考えてはみましたが、この辺りの要素は前作と同じ結論になりました。

空想視を活かすシステム
コンボ 味方が連携して攻撃をつなぐ。特に打ち上げ時は、打ち上げ続けることで敵の動きを封じられる。
カウンター 敵の行動に合わせて、対応するカウンター技を当てると、敵の行動を潰すことが出来る。
派生スキル 味方の攻撃を特定の条件で当てると、派生技が連続で発動する。派生の条件は技ごとに異なる。
Risk 攻撃を加えることで敵のリスクゲージが上がり、リスクブレイクすると一定期間ダメージが与えやすくなる。攻撃が途切れるとゲージが下がるため、一気に攻め切ってブレイクを狙うか、波状攻撃でゲージをじわじわと上げて次のチャンスに備えるかの戦略が生まれる。

一方で前作から大きく変わった点が「オートバトルの標準採用」です。

オートバトルの標準採用

ボス戦・強敵戦においては行動をひとつずつ慎重に選択していきたいところですが、雑魚戦においては帰宅部ひとりひとりをコマンド入力するのは少々わずらわしさがあります。

今回はON/OFF出来るオートバトルを標準採用しました。オートバトルにすると、操作キャラ1名を除く他のキャラは自動的に動きます。

今作はオートバトルありきでじっくりと設計したため、メインメニューから操作キャラクターを入れ替えられたり、状況に応じたAIが組まれていたり、3種の「行動指針」を指定出来たりと、オートバトルに関する機能が充実しています。

そのほか、初期に議論に挙がったもの

シリーズ通してのもう一つ大きな特徴として、バトル終了時にHPとSPが全回復するということが挙げられます。

一般的なJ-RPGにおいて、バトルの終了後にHPなどのステータスがそのまま継続して、魔法やアイテムでHPを回復させることが多いかと思います。そうすることで、1つ1つの戦闘を「いかに消耗せずに切り抜けるか」というゲーム性が生まれ、雑魚戦にも緊張感が生まれてくるというのが、代表的なバランスのとり方です。(チームではリソース管理と呼んでます)

ただ、本作では前作にならい、戦闘毎に全回復し、サクサクとストレスなく進行することを選びました。様々な議論がありましたが、このサクサクさは残したかったポイントでした。雑魚戦での楽しみは、油断できないバトルバランスや、コンボの気持ちよさ、アクロバティックで見ていて楽しい絵作り、で埋めています。

一方で若干のリソース管理の要素として、前作ではなかった”消耗品アイテム”が追加されています。これはリソース管理の側面だけでなく、サブクエストなどでも活きてくることから、導入を決定しました。

 

○2.「ライブ対決」をバトルコンセプトに取り入れる

山中プロデューサーより、今作では味方側と敵側、2人の歌姫による歌を使った対決を入れたいというアイディアを、初期の企画書の時点から伺ってました。この要素をどのようなシステムにしようかと、チーム内で様々な議論を重ねました。

最終的にはバトル中の「フロアージャック」という要素で表現することにしました。

もともと、バトル中で「いまが攻め時!」といった戦闘の抑揚をもっと強調したいという課題があったため、「歌対決」というモチーフはその目的とも相性バッチリでした。発動中は曲ごとの効果が発揮されたり、帰宅部全員のターンが回ってきたり、技の待機時間が大幅に短縮されたりと、一気に攻めるチャンスタイムを意図的に作れるほかに、危機回避にも利用できます。

 

○3.「楽曲の中」で戦うような体験

最後に、演出としての体験デザインについてです。

今回のバトルは「楽曲の中で戦う」というコンセプトで設計しています。楽曲とPVの中で戦うことにより、歌姫の世界に囚われた没入感の表現を目指しました。

今回はこのコンセプトの代表的な要素である「PVを背景に再生する」「床に文字を流す」をご紹介します。

楽曲のPVを背景に再生する

「楽曲の中で戦っているような体験にしたいのであれば、PVに囲まれた中で戦おう」という、コンセプトをストレートに拾った要素です。

最初はどのようにPVを表示するかの試行錯誤を行いました。カリギュラのバトルは、敵とエンカウントするとその場でシームレスに戦うことが特徴となっています。そのため、その場で戦っている感を出すために背景を隠しすぎず、PVも印象に残る形で表示する必要があります。

幾何学模様のようにマスクして表示したり、スクリーンが空中に漂っていたりと、何パターンも(本当に何パターンも!)アートディレクターの黒澤と試しました。結果、PVを透過付きムービーにして、バトルフィールドをぐるっと囲む形で表示するという今の形にたどり着きました。

Caligula2のバトルだとひと目で分かる特徴的な要素になったかと思います。

床に文字を流す

ボーカロイド楽曲のPVの特徴として、歌詞をPVに入れるというのがありますが、今回はその特徴を拾って床に文字を流しています。


バトル開始時、床に大胆に文字を流して演出している。

 


技が発動するときに、攻撃する方向に文字が流れる。混戦になりがちな戦闘において、攻撃の発動を視覚的に知らせる役割も担っている。

見下ろしのカメラが多いカリギュラのバトルにおいて、床を使った演出は相性が良いと考えて入れた要素でもあります。


○おわりに

このようなことをプロジェクト初期に考え、フリューさんとの度重なる議論を重ね、いまのバトルの形になっています。
お手元に届いた際には、楽しんでいただけると幸いです!

今回はバトルの全体的なコンセプトを語りましたが、明日以降は他のメンバーがもっとフォーカスした個所について語ります。お楽しみに!