「ヒストリア・エンタープライズ」は、自動車業界に向けた研究開発の一環として、地図から街を自動生成する「Procedural City Generator」と、物理挙動を伴いながら指定したルートで車両を自動走行させる「Custom Path Driving System」の2つをUnreal Engine 5(以下UE5)とHoudiniを用いて開発いたしました。
今回の研究開発では、今後自動車業界において需要が大きくなる分野だと予想し、街の自動生成とパスに沿った車両走行という2つをテーマとして選定しました。これらを組み合わせて使うことにより、「地図上の任意の街を作成し、指定したルートで車両を自動走行させる」ことを約2日で実現できました。
■UE5/Houdiniによる街の自動生成「Procedural City Generator」
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現実世界の地形データからわずか2日で組み上がるIPに縛られない仮想都市制作システム
「Procedural City Generator」はOpenStreetMapにて世界中から任意の区画を指定し、UE5上に3Dマップを自動生成します。内部的にはHoudiniで建物の形状などを整形、その後Unreal Engineで任意の建物アセットを使い街を作り出します。実際の街を元にしながらも、配置されるアセットは独自に用意したモデル(モジュラーアセット)のため、IPレスな使い勝手の良い街が出来上がります。自動生成された街に交通標識の配置などわずかな編集を加えることで仮想都市をスピーディに作成できます。
地図上のどこでも指定可能
誰でも自由に編集ができる世界規模のプロジェクト、「 OpenStreetMap 」のデータから任意のエリアを指定してバーチャル都市を生成できます。
建物、道路を自動生成
OSMの区画データを元に、まずは建物を自動で生成します。
その後、同じくOSMの区画データを元に道路を自動で生成、配置。 信号や標識などもルールに沿った形で自動配置します。高低差などの起伏も別の配布データを使用して反映可能です。
容易なスタイルチェンジ
プリセットのモジュールアセットスタイルを変えることで自動生成される街の建築様式を自在に制御可能です。アセットを用意すれば外国風建物、江戸時代風などスタイル、テーマを変えて制作が可能。
■指定したルートを走行する「Custom Path Driving System」
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車両が物理挙動を伴って任意のパスを走行し、アニメーション出力も可能
「Custom Path Driving System」は手動で道路にパスを引き、それに沿ってタイヤの方向や物理的な車体の沈み込みを再現しながら走行するシステムです。UE5標準機能でも物理的な自動車挙動を再現するものは存在しますが、基本的には自分で運転することを想定しており、任意のパスに沿わせて走行することや、それをもとに思い通りの映像を作ることは困難でした。
本システムを使用することにより、シナリオに準じた走行シミュレーションやカットシーンとしてシーケンサーを利用した映像制作が効率的に行えます。
スプラインにより任意のパスを指定可能
パス上には速度も設定でき、一定の走行シナリオを組むことが出来る。
リアリティのある車体挙動
曲線から計算されるタイヤの向きや、車体の沈み込みを再現。
シミュレーション結果をモーションデータとして保存可能
このシステムで走行させた結果をTake Recorderで出力することにより固定化したアニメーションデータとして書き出し可能。これによりシーケンサー上で演出を付けることが出来る。
今回の研究開発をきっかけに自動生成分野への研究をさらに深めるとともに、ヒストリア・エンタープライズでは自動車業界向けのコンテンツ制作における生産効率の向上を目指します。