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2020.05.14UE5
代表の佐々木です。ついに、Unreal Engine 5 が正式発表&初公開されました!
一昨年くらいからUE5の存在は明らかにされてましたが、UE4のリリースから6年が経ち、ついにこの日が来ました。
興奮して眠れないので、記事を書こうと思います!
↓なにはともあれ、こちらのデモ(&解説動画)をご覧ください。
Unreal Engine 5 Revealed! | Next-Gen Real-Time Demo Running on PlayStation 5 from Unreal Engine on Vimeo.
こちらの 公式サイトの記事 にも解説が載っています。
今回発表されたUE5の情報の中から、何がすごいのかを書いていこうと思います。(UE5の字面がまだ見慣れないですね!)
メジャーバージョンアップによって変更される場所はいろいろあると予想されますが、今回公開された中での目玉はこの2つです。
いままのゲーム開発は、ロードとメモリ、そして描画の3つの観点から、3Dモデルを最適化してノーマルマップなどのフェイクの技術を使い、(誤解を恐れない言い方をすると)いかにポリゴンが多いように見せるかを頑張る時代でした。このNaniteによって今までの何百・何千倍ものポリゴン数のアセットをインポートしてゲーム内で使用できることを、このデモは示しています。ロード・メモリの問題はジオメトリをストリーミングで読み込むことにより解決しているという点が、単なるハードスペックの向上による解決とは大きく異なる点です。
昔からオフラインレンダリングによる映像のリアルさに比べて、ゲームのリアルさはどうしても劣っていました。UE4の世代になって近づきましたが、そこにはまだ隔たりがありました。その原因のひとつが、このポリゴン数です。Naniteによって映画品質のアセットをそのままゲームでも使うことができるようになりました。
また、Naniteはリアルさを上げるだけでなく、いままで非常に多くの時間を費やしていた最適化の工数、そしてその制限によってセーブされていた表現の幅が大きく広がることを意味しています。この動画の内容が実現されれば、アセット制作環境が大きく変わることでしょう。(とはいえ、動画にはエリアをまたぐ時にストリーミングのロード時間を稼いでいるのかな?と思える演出が入っているので、完全に制限から解放されるわけではないかもしれません)
余談ですが、この動画ではMegascansのアセットがふんだんに使われていますが、実際にタイトルを制作しようとすると既存アセットと自作アセットを併用する必要があります。現実問題として、その時に自作アセットを同じクオリティで制作することは非常にハードルが高いです。今後、これまで以上に高品質アセットがDLして手に入るようになるかと思いますが、その時に1つのゲームタイトルとしてどのように既存アセットを使用するのかは、今後重要なテクニックになってくるのかもしれません。
ゲームはユーザーの入力によって絵が変化するため、超高速(おおよそ16ms~33ms)にレンダリングを行う必要があります。そのため、事前に計算できるものはリアルタイムではなく事前に計算を行うというテクニックが良く使われます。その代表的なものがライトの計算で、光源と地形の環境が変わらない場合は事前に計算を行っていました。(ライトマップとGIの計算) リアルタイムに地形を変化できない、もしくは地形が変化したときは若干ライトの質が落ちるという制限の上でゲームを制作していました。また、この事前計算を行うためにアーティストはライトマップUVの作成と、事前計算(ベイク)に多くの時間を費やしてきました。ライトを完全に動的に計算し、これらの問題をすべて解決したのがLumenです。
これにより絵が向上し、アーティストの作業が減るのは明白ですが、それ以外にもゲームデザイン(ゲームの仕様)上の大きなメリットが存在します。いままでは上記の理由により、壁を破壊して光が差し込んだりする遊びを入れることが簡単にはできませんでした。Lumenはそういった遊びを簡単に実現し、ゲームのルールをより自由に設計できることを示しています。これは、仮想世界の表現力が、さらに現実に近づいたと言えるでしょう。
実はこの動的グローバルイルミネーションですが、UE4が発表された当初はUE4に実装される予定でした。その時は時代的にまだ早かったので見送られましたが、UE5の時代になってようやくそれが実現しようとしています。
個人的に注目したのが、オーディオシステムに言及があったことです。最近のUE4はアップデートのたびにオーディオシステムに更新が入っていました。正直そこまで注目していなかったのですが、このデモを見ていて”ここまで絵のリアリティが上がると、サウンドのリアルさを求めないと音が浮いてしまう”と感じ、最近のUE4の動向に納得しました。UE5世代になり、よりオーディオの重要性が上がるかもしれません。(ああ、開発コストがまた……気軽に洞窟に収録なんて行けないよ……)
正式リリースされたエフェクトシステムのNiagaraですが、今回のデモではインタラクティブな小さな生き物に使われていたのが印象的でした。UE5の時代は、まわりの環境からより多くの影響を受けられるようになり、エフェクトシステムというよりもう一回り幅広い概念でとらえた方が良いかもしれません。
アニメーションシステムも新規機能が動画で軽く解説されていますが、この部分は続報が待たれます。
また、以前から宣言されていましたが、UE4のデータをUE5に移行可能なことが明言されました。UE3とUE4は全くの別のツールで、Unreal Engineは代々互換性を全く保ってきませんでした。UE5ではこの互換性が改めて明言されたことは非常に安心できる材料です。
唐突に発表されたUE5ですが、ゲームがよりクリエイティブに、そして映像用途へより広がっていく可能性を見せつけてくれました! 未来への想像が膨らみます!
UE5は2021年後半にリリースとのこと。この1年は新規情報がどんどん出てきて、興奮する日々が送れそうです。
7~8年に1度のこの機会、一緒に楽しい日々を過ごしましょう!