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2020.04.06お知らせ
代表の佐々木です。
弊社は対COVID-19(新型コロナウイルス感染症)の観点から、4/3に一時的にオフィスクローズを行い、4/6からはフルリモートワーク(テレワーク)へ移行しました。(一時的なオフィスクローズおよびリモートワーク移行のお知らせ)”フルリモートへ移行しました”と言っても、新しいチャレンジを行ったというような華々しいものではなく、方々にご迷惑をかけながらの一時しのぎの施策です。
判断自体が苦渋の決断でしたが、数日のうちにフルリモート環境を整える(全く整ってないですが)ところが頭を悩ませました。その間、他社事例があれば参考にしたいと思っていたため、非常に悩みましたが情報共有のためにブログにまとめて公開することにしました。
この記事は、弊社と同じような中小企業の経営層/マネージャー層/バックオフィスを対象としています。個人的な感性の話になってしまいますが、私自身今回のような騒動の中で、このようなことを書くことで自社のPRのようになってしまうことは好みません。(そもそも対応が早い方ではない) 各企業、事業の質が違い、取れる手段も違います。経営者の皆様は様々なパラメーターを天秤にかけながら、現実的かつ継続可能な手段を頭を悩ませながら探っていることかと思います。よって、このような対応を推奨する用途(もしくは批判)としてではなく、純粋な事例紹介・知見シェアとして使用されることを望みます。
書きやすかったため、ざっくりと時系列でまとめさせていただきました。少し長いので、必要そうな部分のみお読みください。
最初に、弊社の事情をご説明いたします。現在弊社で走っているプロジェクトを明かすことはできないので、公表済みの過去実績から推測できる点のみお話しします。
弊社は現在、メイン事業をゲーム制作とし、そのほかに非ゲーム(エンタープライズ)案件を扱っています。現時点では規模的にゲーム事業が8割のため、ゲーム開発会社として語らせていただきます。
一般的に、ゲーム開発会社にはいくつか種類が存在します。ソーシャルゲーム系、コンシューマー(家庭用)系、アーケード系、その他などです。その中で弊社は、モバイルの事業はほとんど行っておらず、コンシューマー(家庭用)・アーケード(ゲームセンター)・VRアトラクションをメインに扱っています。
このような事業領域では、開発は量産フェイズの量産タスク以外はコミュニケーションベースで試行錯誤をしながらモノづくりをしていくことが多く、特に弊社は各職種が立ち話やホワイトボードの前に集まって、頻繁に意見交換を行いながら開発を進めるスタイルを取っています。そのため、フルリモートによる環境の不便さ、相談の減少、伝達ミス、巻き込み力の弱まりで、開発効率が3~5割落ちるのではないかと思っています。また、専用の機器が必要になることが多く、PCのみで完結するプロジェクトは稀です。それらのプロジェクトは、リモートにしたときに進められるところまで進めて止めておく判断も必要になります。
弊社の状況をまとめると以下の通りです。
以上のことから、経営的なダメージは受け入れたうえでの今回の判断となりました。同じような事業領域のゲーム開発会社の皆様は、同様の悩みを抱えているのではないでしょうか。今回弊社は、リモートを一部チームや曜日で導入するよりも、全体会やPCを持ち帰る都合もあり、やるなら一斉にやったほうが逆に統率が取りやすいとの方針で動きました。(もちろん早く全員在宅にしたかったということもあります)
それでは、弊社の事例を時系列で記載していきます。
3月下旬から、もしロックダウンしたときの対応を考え始め、話す機会のあったクライアントの皆様へ「フルリモート移行時に納期が満たせるか怪しい」旨を相談し始めました。本格的な動きは、オフィスクローズ4日前くらいからです。
社内で自宅環境のアンケート実施。以下の項目をMicrosoft Fomesでアンケートを取りました。まだオフィスクローズの判断は行っておらず、今後の動きを決めるために取ったアンケートでした。
この時に、ヘッドセットの有無も聞いておけばよかったとあとで思いました。
感染者の拡大を受け、オンラインミーティングの推奨と、飲み会等を控えるようにガイドラインを改定。とりあえず念のために持っていない人数分のWEBカメラを購入。また、デスクトップはWi-Fi受信機がついていないため、有線が繋げないけど家庭にWi-Fiが飛んでいる人のためにWi-Fiのアンテナも購入。
これはいよいよだと感じ、いままではヒアリングするだけだった情報をまとめることに。状況を分析の結果、最初に解決すべきは各クライアントの皆様に対して、以下の点だと情報を整理。
上記の質問状況を全プロジェクトでまとめた1つのExcelシートを作りました。ここでのフォーマットづくりは状況を一覧して思考するのに非常に便利でした。(同様に、協力会社の対応状況や相談状況をまとめた別のExcelシートも作成しました)
複数の知人からよく知っている企業での感染者報告を複数聞き、昼過ぎに明日か明後日をターゲットにオフィスクローズを行うと判断。各クライアントの皆様に、上記の3点を急ぎ確認を取る(Excelの空欄を埋める)ことに。
セキュリティについては、以下の3点をお約束して、ご理解いただきました。
納期が満たせなそうな案件については納期のご相談をさせていただいたのですが、全クライアントの皆様に「こんな状況ですから……」と言っていただき、心より感謝しております。そう言っていただけて、本当に心が軽くなりました。
そのほか、この日から一気に物事を動かしました。ただ、この日の時点ではまだ全クライアントの皆様に確認が取れてなかったため、社内公表はしてませんでした。この日に行ったその他のことは以下の通りです。
対策チームを人数絞ってすぐに立ち上げ、この後も日に何回も突発的なミーティングを行い、連携が甘いのを前提に担当者を割り振りながらスピード感を持って進められたのは良い流れでした。
幸いにもこの日の午前中までに全クライアントに返答を頂けました。全体発表に向けてまずは各プロジェクトのリーダー陣に先行して伝達。発表後にプロジェクトごとに進め方の提案をレポートで上げてもらい、それを元に全プロジェクト順番にミーティングを行い、来週の動きを決めるようにしました。その際に各プロジェクトで決めるべきことと基準は以下の内容で進めました。
全プロジェクトリーダーに先行伝達後、終業時刻の少し前に全体発表を行いました。どよめきはありつつも、明るく話を前に進めてくれたスタッフには本当に感謝です。ひとまずこの場では、オフィスクローズを明日行うこと、設備補助金(ヘッドセット、机、椅子、カーテン等を想定)を若干配布するので、急ぎ自宅環境を整えてほしいことを伝達。
この日は、ほかにもこのようなことを行いました。
この日は社内全体で準備に追われる日でした。対策チームの4名を中心に、以下のことを行いました。
就業レギュレーションは、いったん以下のようにしました。
正直、この辺りは我々は経験が無さ過ぎて一度これで試してみよう、という形です。みなさんの事例を教えていただけると幸いです。
その後、少し落ち着いて週末は以下のことを行いました。
最後の自宅環境セットアップチェックリストは以下の通りです。
この記事を書いている当日となりますが、朝に環境が整っている人だけでZoom朝礼を30人くらいで行いました。そして、その後チームごとの朝会も。それぞれ壁紙を工夫したりFaceRigを使ってアバターになってる人が居たりと、Zoomの操作に若干戸惑いながらも順調に終えました。通信環境は割と快適で、現時点では問題なさそうです。
Slackでトラブル報告・知見共有部屋を作り、そこで情報交換が行われています。(マイクが利かない、VPNが接続できない、などのお決まりのトラブルが出てます) 各種PCツールを使うことには慣れているので、今日明日である程度慣れるところまでは行けそうです。
凄まじいスピードで動いてくれた対策チームのメンバー、突然のことながら前向きに協力してくれたメンバーには本当に感謝です。
序文の繰り返しになりますが、本記事は中小企業の経営層/マネージャー層/バックオフィスに向けて書いた事例紹介・知見共有の記事です。今まで経験したことのないこの事態において、各企業、情報共有をしながら乗り越えていければと思い書かせていただきました。急造の環境でのフルリモートワークとなってしまったので、もし同じ境遇の会社さんがいらっしゃいましたら、ぜひ情報交換しましょう。